黙ってついていって

それでは、思春期の子どもたちに、どのように接していくのかということですが、子どもの心の揺れに付き合っていくことだと思います。
子どもが右に行くと言ったら「分かったよ」と言ってついていきます。
左に行くと言ったら「分かったよ」と言ってついていきます。
でも迷って、やはり後ろに行くと言ったら「おまえ、さっきと言うことが違うじゃないか!」と言いたくなるところをグッと我慢して「分かったよ」と言ってついていきます。

ここにあるのは、子どもに対して指示、命令をしないという態度です。
赤ちゃんの時、ハイハイから一人で立つことができたときには、ハラハラしながら最初一歩を期待して、じっと待っていたと思います。
そして赤ちゃんが、最初に立って一歩を踏み出した時、みんなで喜んだあの感覚を思い出して欲しいのです。

あっちに行ったり、こっちに来たり、振り舞わされていると「もう、勝手にしろ!」と、突き放したくなるのですが、やっぱり心配だから、後をついていってほしいのです。
子どもが不安になって、後ろを振り向いたら、そこにはちゃんと親がいて「大丈夫だよ」と、うなずいてくれる、そういう関係でいてほしいのです。