雑用

シスターの渡辺和子さんは、修道会にいたとき、食事の準備で食卓にお皿を配っていました。
そんな時、あるシスターが寄ってきてこう尋ねたそうです。
「渡辺さん、あなたは今、何を考えながらお皿を配っていたのですか?」
渡辺さんは、戸惑いつつ「いえ、何も考えていません」と答えました。
するとシスターは「渡辺さん、あなたは時間を無駄にしています。なぜ、このお皿を使う人の幸せを祈りながら配らないのですか? この世に雑用などないのですよ」と教えてくれたというのです。

炊事・洗濯・掃除・子供の世話も、会社の仕事も「義務・命令・しなければいけないこと」だと思えば、その通りです。
しかし、そこに「この食事をする人が元気になってくれるように」
「この服を着る人が喜んでくれるように」
「子供が健やかに成長するように」
「この部屋を使う人が、気持ちよく使えるように」
「この仕事を通して、みんなが幸せになってくれるように」
と相手を思いやり、気合を入れてやっていくと、それは「しなければいけない」雑用でもなく、単なる作業でも、単なる仕事でもなくなります。

どんな作業でも、実は「自分の想いが相手に通じるのか・・」を実験できる現場であることに気づくと、増々気合が充実してくるように思えませんでしょうか。
そしてそれが実験だけに終わることなく、「感謝」という目に見える形で現れたとき、この世から雑用はなくなり、すべての作業は「人を思いやる」喜びや楽しみに変わるのです。