野放し

がばいばあちゃんの口癖 島田洋七

ばあちゃんは、「わからぬふりも宝」と書いていました。
私が20代の頃、その言葉の意味を聴いたことがあります。
「夫婦やからいうて、なんでもかんでも知っているからケンカになる。見てみんふりも大事や。神さんやないんやから、多少はいろんなことをするよ。それを突っついてどうすんの」

私なんか野放し状態です。
今までで最高で、半年家に帰らなかったことがあります。
それでも家から電話もかかってきません。
あんまり不安になったので、自分から家に帰っていきましたよ。
「ほんまに、なんちゅう嫁や」と思ったものです。
普通だったら「どこにおるの?」と電話がかかってくるでしょう。
それが半年も音沙汰なしです。
だから自分から帰っていき、じーっと家の中を覗いてみました。
すると、子供2人と嫁さんの3人で、けらけら笑って楽しそうにしているんです。
「俺、いらんやん!!」と思ってしまいまいましたよ。
それで、パーッと玄関を入って行ったら「どこ行ってたん?」とは一言も言わず、「ああ、お帰り。お風呂入れば・・」と言われておしまい。

それくらい、夫である私には無干渉でしたが、子どもだけはちゃんと育ててくれていました。
私がいなくても、すべてのことをきちっとこなしてくれているので、嫁さんは本当に偉大だなと思います。