議論をしない

議論の結果は、ほとんど例外なく自説を正しいと確信させます。
しかし、議論で相手に勝って自分は大いに気をよくしたとしても、やっつけられた方は劣等感を持ち、自尊心を傷つけられます。
その結果、相手の方が自分対して好意を抱いてくれることは決してありません。

トラックのセールスマンをしていた男がいました。
営業がうまくいかなかったので、講習会に参加したのです。
講師が彼に2,3問の質問をすると、彼はいつもお客に議論を吹っかけてり、逆らったりしていることが分かりました。
売り込もうとしているトラックにちょっとでもお客がケチをつけると、恐ろしい勢いで議論し、大抵お客を屈服させてしまっていたのです。
確かに彼は理論的にお客を参らせたのですが、トラックは1台も買ってもらえませんでした。

そのセールスマンが、今では会社の花形セールスマンになっているといいます。
そのやり方を彼の言葉で紹介します。
「仮に私がトラックの販売に行って、わが社のトラックをけなされ、ライバル社のトラックにするよ、と言われても『ごもっともです。本当にA社のトラックはいいですからね。あれは、お買いになって間違いありません。会社は立派だし、販売員も皆いい人ばかりですから』と私は答えます」
「これにはお客さんんも二の句が継げません。議論の余地がないわけですから。
そこで今度は話題を変えて、わが社のトラックの長所を話し始めるのです」

今から考えると、前の私はあんな態度でよくセールスをしていたものだと、我ながら恥ずかしく思います。
長年お客と議論し、損を続けていたのですから・・。
しかし今は、しっかりと”口を閉ざしている”おかげで、販売は順調に伸びていますよ。