言葉

人は「言われた通りの人間に」なってしまう傾向があります。
「お前はものすごい才能を持っている!」と言われ続けて育った子供は、その通りの人生を送ることが多いようです。

「言葉」はあらゆるものを造りだすことができます。
人の命を奪うものを兵器と呼ぶのであれば、言葉は体の中に兵器を造ることだってできます。
どんなに健康な人だって、名医に「これはいかん、相当ひどいな~~」と苦虫つぶした顔で一言こう言われれば、ひどい場合にはそれだけで胃に穴があいてしまいます。
人は病気そのものによって、生きる希望をなくすわけではありません。
「言葉」によって生きる希望をなくしてしまうのです。

スーパーのレジが行列していました。
一番空いている列に並び先頭の人を観察します。
その人は店員さんがレジ打ちを終えてからおもむろに財布を出し、お札を出してから端数の小銭を探し続けています。
時間ばかりが過ぎていき、埒があきません。
レジの店員さんも困惑しています。
隣の列はスムーズにレジが進んで、人がどんどん流れていきます。
「ああ、自分だっだら最初から小銭を用意しておくのに・・」と思うと、それが「そう動いてくれ!」という相手への期待に変わり、イライラする気持ちが芽生えていきます。
このように感じてしまう私のような小心者がいる一方で、他人が自分の期待通りに動いてくれなくても、イライラしたり怒ったりせずに悠然としている人もいます。
こういう人は最初から「人に期待する」ことが少ない人です。
自分の心の平和は「誰かの行動に左右されるものではなく」自分で作り出すものだと心得ているのでしょう。

日々の気持ちを作り直し「心穏やかに」してくれることに案外役に立ってくれるのが「期待しない」という考え方です。
今日がいい日になるかどうかを他人に委ねず、自分は自分と思った通りに生きていますので、イライラすることも少なく穏やかにしています。
自分の意志や力では変えることのできないことに「自分の人生を委ねる」ことをやめてみるのは、面白いかもしれません。