ココロの架け橋 中野敏治
決勝戦が終わり、表彰式の準備が始まりました。
その時、顧問の私の周りに選手全員が走り寄ってきました。
「先生、表彰式のときもらう表彰状って、選手でないといけないのですか？」と驚くようなことを聞いてきたのです。
「選手の分しかないだろうね」
「違うんです。表彰式で賞状をもらいに出るのは、私たち選手でなければいけないのですか。私たち、さっき試合に勝って優勝したときうれしかったけど、でも、私たちだけの力で勝ったのではないんです。いつも試合になると、私たちのためにボールを拾ってくれて、応援してくれる仲間がいたから・・・」というのです。
いよいよ表彰式です。
「優勝○○中学校」と呼ばれたとき、表彰状をもらいに前に出た部員は、今日の試合に出られなかった2人の部員でした。
表彰状と優勝カップを2人は照れ臭そうに受取りました。
その様子を見ていた選手は、大きな拍手を送っていました。
応援に来ていた先輩たちも、新入部員たちも、みんな大きな拍手を送っていました
子供たちは、思いもかけないことを自然にさりげなく行うものです。
大人の想像をはるかに超えた行動をするものです。
大人の心が大きく震えるほどの感動を子供たちは与えてくれます。