若いときの失敗が人生の力になる

辛い気持ちが消えていく 斎藤茂太

「自分のやりたいことがみつからない」と悩んでしまうタイプの人は、性格的にまじめで、一度悩み始めると思いつめてしまう傾向が強い。
最初の会社や仕事場でうまくいかないと、「もう自分は社会的に不適格者だ」「仕事についていけない」と、内にこもってしまう。

すぐに「この仕事は自分に向かない」「この人とは合わない」と投げ出してしまうのは問題だが、どう我慢しても自分に合わないことを無理に続けていると心身ともに不満をきたすことになる。
若いうちは最初に失敗すると、次もまた失敗するのではないかという恐れや不安が先に立つものだ。
経験値が上がってくると「失敗するときもあれば、成功するときもある」という考え方もできようが、自信も経験も足りないために、失敗をすべて自分の能力や適性の所為にしてしまう。

失敗や間違いは大いに結構、どんどん失敗しなさいと言いたい。
なぜなら、人は成功よりも失敗や間違いから学ぶことが多いからだ。
失敗から立ち直る、もう一度挑戦してみる、そのことだけでも大いに意味があるに違いない。