良寛

良寛曰く

自分は生涯ずっと、人と争って立身出世しようなどということが面倒で、何かになろうとしたことは一度もなく、すべてを運命が導くままに任せてきた。
だから生涯貧しくて、今ここにあるものといったら袋の中に托鉢でいただいた3升の米と一束の薪だけだが、わたしはこれで十分だ。
もう悟ったの、迷ったのということも気にならぬ。
まして名利のことなどどうでもいいことだ。
今わたしは、雨がしとしと降る粗末な小屋にいて、二本の脚をながながと伸ばしている。
これが、わたしにとっての最上の境地だよ。

誰にも頼らず、どこにも属せず、そのかわり完全な自由の中に生きること、これがわたしの選んだ人生だ。

 

もちろん、私には良寛のような崇高な生き方はできません。
だけど、「便利快適」の度が超えた今の世の中を見ていると、人間から「耐える力」を失わせているのではと、危惧しています。

良寛が、死と隣り合わせの中で辛い冬を耐えたのは、それだけ春の到来を喜び楽しむことができたからかもしれません。

多少の不便さを享受しながら、ほんの少しのプラスで「幸福」を感じられるような、そんな人生を生きたいと思います。