般若心経6

無苦集滅道ムクシュメツドウ 人生に苦しみもなければ、その原因もない。
無知亦無得ムチヤクムトク 智慧というものもなく、悟りもない。
以無所得故イムショトクコ 得るべきことは何もないのである。
菩提薩埵ボダイサッタ 修行するものは
心無罣礙シンムケイゲ 心にこだわりがない。
無罣礙故ムケイゲコ こだわりがないが故に
無有恐怖ムウクフ 何も恐れることはない。
遠離一切顛倒夢想オンリイッサイテンドウムソウ あらゆる妄想を遠ざけて
苦境涅槃クキョウネハン 心の安らぎの境地を極められる。

これを私なりに訳してみます。
苦しみや煩悩が無くなることもありません。また、その原因を見つける必要もありません。なぜなら、そもそも全てのものに実体がないのですから、苦しみも煩悩も存在しないからです。
では何があるのかといえば、自分の心の中に苦しみや煩悩にこだわる「妄想」があるだけなのです。

故に、悟りを得る智慧も必要なければ、悟りも必要ありません。
必要なのは、この真実に「気づく」ことだけなのです。
心にこだわりが無くなれば、何も恐れることはありません。
幸も不幸も存在しません。「そう思う心があるだけ」です。
「ああ、なんて幸せなんだろう」と思えれば、それでいいのです。
そこには、何も求めるものはありません。