自然死を邪魔しないで

大往生したけりゃ医療とかかわるな 中村仁一

自然死は、いわゆる「餓死」ですが、その実体は次のようなものです。
飢餓・・・脳内にモルヒネ物質が分泌される。
脱水・・・意識レベルが下がる
酸欠状態・・・脳内にモルヒネ物質が分泌される
炭酸ガス貯留・・・麻酔作用有り

死に際は、何らかの医療措置も行わなければ、夢うつつの気持ちのいい、穏やかな状態になるということです。
これが自然の仕組みです。
自然はそんなに過酷ではないのです。

ところが、ここ30~40年、死にかけるとすぐに病院へ行くようになるなど、様相が一変しました。
病院は、できるだけのことをして延命を図るのが使命です。
しかし、死を止めたり、治したりすることはできません。
しかるに、治せない死に対して、治すためのパターン化した医療措置を行います。
食べられなくなれば鼻から管を入れたり、脱水なら点滴注射で水分補給を、貧血があれば輸血を、小便が出なければ利尿剤を、血圧が下がれば昇圧剤といいうようなものです。

これは、せっかく自然が用意してくれている、ぼんやりとして不安も恐ろしさも寂しさも感じない、幸せモードの中で死んでいける過程を壊しているのです。