自然に

やはり死ぬのはがんでよかった 医師 中村仁一

抗がん剤で治るのは、血液のがんや精巣ガン、子宮絨毛ガンくらいと言われています。
胃がんや肺がんのように塊になるガンは、一時的に小さくなることがあっても、抗がん剤をあまり使う意味はありません。
たとえ数か月の延命効果があったとしても、副作用が強烈でしょうから、よれよれの状態になります。
結果的に苦しむ期間が延びただけというのでは、あまりにも悲惨すぎます。

死に際は何らの医療措置を行わなければ、夢うつつの気持ちいい、穏やかな状態になります。
これが自然の仕組みです。
自然はそんなに過酷ではないのです。
私たちのご先祖様は、みんなこうして無事に死んでいったのです。

ところが現在は、死にかけるとすぐに病院に行くようになりました。
病院では、できるだけのことをして延命を図るのが使命です。
しかし、死を止めたり、治したりすることはできません。