自然に 自然に

うまいこと老いる生き方

54歳精神科医 オーストラリアやオランダ、スウェーデンなどでは、認知症や寝たきりの高齢者に人工栄養は全く行われないようです。欧米や北欧にも、20年前くらい前までは、日本と同じように老衰状態の高齢者に人口栄養を行っていた歴史があるんですね。これらの先進国では、その歴史を経たうえで、余計なことをすればするほど、終末期の苦しみを助長すると結論付けられ、高齢者の自然死が推奨されるに至ったわけです。

92歳精神科医 なるほどな。私も長年医者をしていた経験から、年老いた人間の最期は、自然に任せておくのが一番やと確信しておる。

54歳 食べられなくなった末期のガン患者さんには、点滴で人工的に水分や栄養を入れすぎると逆に苦しみが増すので、点滴は痛み止めなど最小にして自然に任せていました。人工的に水分や栄養を与えずに、ご本人の身体の衰弱具合に任せていると、ロウソクの炎がすうっと消えるように、自然になくなって逝かれました。

92歳 ガンでも老衰でも、できるだけ自然に任せた方がええと思う。今の医療技術で、痛みと苦しみだけ取ってもらえれば、後は放っておいてもらったほうが人間らしく、楽に死ねると思うわ。