自己嫌悪

うまいこと老いる生き方

54歳精神科医 SNSで、家に帰ってまであまり親しくない他人と、いつまでもコミュニケーションをとれてしまうので、知らなくてもいい情報が入ってきて、他人と自分の境遇とをついつい無意識に比べることにもつながっています。

92歳精神科医 それは気が休まらへんね。

54歳 だから、私は思い切って関係の浅い人とインターネット上でつながることを止めました。

92歳 暇すぎても不安になるし、忙しすぎても鬱になるしで、現代はやっかいな時代やなあ。

54歳 ところで先生、日常生活でふと沸き起こる不安といえば、もう1つ、自己嫌悪感があります。私自身も含めてですが、どうしてもっとうまく仕事ができないのだろう、なぜ人とうまく付き合えないのだろう、などと自分を責めてしまう人は少なくありません。

92歳 もともと私は、自分に自信がこれっぽっちもないし、必要とも思わん。「自分なんかこんなもんや」と思っているから、失敗しても当たり前やし、人とうまく付き合えなくても当たり前。

54歳 先生の今の言葉に、大きなヒントがありますよね。「自分に自信がなくてもいい」ってとこです。

92歳 自己嫌悪になるのは、自分ができなかったことや、失敗したことばかり思い出しているときやろ。そもそも自分なんか大したことがないやと思っていたら、失敗しても「まあ、しゃあないな」って自分を許せるはずや。