自分の果たしてきた役割が見えるとき

ホスピス医の著書から

「他人よりもいい暮らしがしたい」
「他人よりも幸せな人生を送りたい」
と必死に努力してきた人が大きな病気であること、残された時間が短いことが分かった途端、将来の夢もアイデンティティも失い、
「自分の人生は何だったのだろう?」
と悩み始めます。
しかし、自分にとって本当に大切なもの、本当に自分を支えてくれるものに気づくのは、まさにその時です。
健康なときには誰かとの比較の価値観に振り回されて分からなかったことが、分かるようになるのです。

また死を目前にすると、自分が果たしてきた役割も見えてきます。
それまでは劣等感を覚えていた人が、自分の人生を振り返り
「自分は同僚のように仕事はできなかったけれど、みんなが嫌がっていた小さなプロジェクトを請け負い、自分なりに努力して成功させられたのは良かったな・・」
と思ったりするようになります。
また母親として子供を育てることができたこと、父親として家族を守ってきたことが、自分の役割だったと振り返る人も多くいました。