自分にできないことは人に委ねてもいい

今日が人生最後の日だと思って生きなさい 小澤竹俊

自分の行動に責任を持ち、できる限り人に迷惑をかけないようにしよう、自力でやり遂げようと思うのは、とても立派なことですが、そうした思いが時には自分自身をひどく苦しめることもあります。
真面目で責任感が強い人、完ぺき主義な人、何でも自分で抱え込んでしまう人ほど、心のバランスを崩しやすいといわれるのも、そのためでしょう。

生きていれば、人に頼らなければいけない瞬間が必ずやってきます。
特に人生の残り時間が少なくなれば、どれほど気がかりなこと、やりたいことがあっても、自分ではどうすることもできません。

私はこれまで、最後のときが目前に迫った患者さんをたくさん診てきました。
多くの患者さんは最初のうち、やり残したことを思って苦しんだり、残される者を思って悩んだり、他人に頼らなければ生きて行けない自分を責めたりしますが、時間が経つにつれ、自分にできないことは、人に委ねればいいのだと気づきます。
大切だからこそ手放し、大事な人に任せようと覚悟を決めるのです。
そして、委ねることを決めた人は、必ず穏やかな表情に変わります。