職人さん

職人さんの生き方はいいなと思います。

自宅を新築するとき、昔気質の大工さんにお願いしました。その大工さんにはこだわりがあり、例えば天井は並行ではなく左右に高さの角度をつけました。その方が、人間は落ち着くのだといいます。
また、床には板ではなくコルクを敷き詰めました。コルクが呼吸をするので快適なのだといいます。でも、コルクを張る作業は大変です。板を引いてしまえば簡単なのですが、3日もかけてコルクを張ってくれました。
壁は漆喰です。やはり壁が呼吸をするのでいいのだといいます。
結局、長い期間をかけてほとんど一人で完成させました。

その大工さんは仕事の依頼がきても、自分のやり方に口を出すお客さんの仕事は引き受けません。そのときのセリフが「積水でも三井でも住友にでも好きなハウスメーカーに頼んだら・・」です。そう言って断ってしまいます。

大工さんは無口ですが、大工さんの仕事をみればその人の人柄が分かります。この大工さんは私たちに喜んでもらいたくて、あえて面倒なことも進んでやってくれました。
あれから10年が経ちましたが、今の家に飽きることもなく益々愛着が出てきました。
その大工さんは今でも数か月に1回くらいは、自分の畑でとれた野菜をお土産に自分の作品を見に来ます。