老後は2,000万円不足する?

70歳からの選択 和田秀樹

よく、老後は2,000万円必要ということを耳にします。
これは2019年に金融庁の金融審議会で、年金だけでは老後資金が2,000万円足りないという話しが飛び出したことにより、今では常識のように言われるようになりました。
老後に2,000万円足りなくなるというのは、夫65歳、妻60歳が30年後まで生き、その間、夫婦はともに無職であることを前提にしています。
その時、家計収支が毎月5,5万円ほど赤字になると計算し、それが30年間続くと1,980万円不足すると見積もったものです。

しかし、60代以降、70代、80代、90代と、ずっと同じだけ消費するものでしょうか。
この家計消費では食費の割合は24.4%を占めていますが、通常、年代が上がれば食費は必然的に少なくなっていきます。
またこの見積もりでは、夫婦とも老後は働かないことを前提にしています。
心身ともに元気な60~70代は、働くことで収入を増やし、不足分を埋めればいいと考えています。

男性はホルモンの関係もあり、定年後は家に引きこもりがちになり、外出は妻についていくだけのぬれ落ち葉となって、妻から嫌がられる存在になることが多々あります。
そうならないためにも、外に出て働くことは夫婦生活の円満にもつながるのです。

たとえば月20万円、年間240万円の収入があれば、65歳までの5年間で1,200万円を稼ぐことができます。
2,000万円の半分以上が補えるのです。
さらに70歳、75歳まで働くことができれば、不足分のほとんどをカバーできるはずです。