終わりはある。だから今を乗り越えられる。

1,000人以上を看取った緩和医の話し

「残された時間をどう過ごしてもらうのがいいのだろうか?」
私はよくその言葉を、家族や医療者に問いかける。
けれどもその言葉を繰り返している時、ふと気がつくことがある。 
「そうだ、自分も限られた命なんだ」と。

世の中には不条理が存在し、その世の中を私が生きていく意味は何か? どうしたら私の心は満たされるのか? それを考えることが重要です。
終わりがあるというのは、実に大きな事実です。
幸福もいつまでも続かないが、不幸もいつまでも続かない。
学校でのいじめも、ひどい職場環境も未来永劫続くことはない。
また愛する人、友達、家族ともいつかは別れるときが来る。
だからこそ、今を精いっぱい愛することができるのだろう。

つまらないことに腹を立て、悩み、苦しんでいるのは、いつまでも今日が続くと思っているからである。
良くも悪くも、終わりは必ず来てくれる。
富も名誉も、地位も、愛する人をあの世に連れていけないとしたら、自分は今どう生きたらよいのか、それを悩み考え続ける中で、答えはいつか見つかってくるものだと思う。
自分の心の中で、妥協点が見つかるということだ。

きっと本当の幸せは、自分の心の中に羽ばたいている青い鳥なのだ。
それに気が付かないだけで、青い鳥はじっと心の片隅に止まって私が気がつくのを待っていてくれる。