突然の症状

パニック障害、僕はこうして脱出した 円広志 

得体のしれない病気が突然、僕を襲ったのは1999年のことだった。
僕に不調の兆しが見えたのは、ある早朝番組の本番収録中のことだった。
酒に酔っているわけではないのに、妙に身体がふらつくのだ。
脂汗が出る、めまいがする。
今にも倒れそうになるのを必死で堪えながら、僕は何とか本番終了まで我慢した。
きっと、寝不足やろう。
根っから呑気な僕は、そう結論付けて家路についた。
自宅に帰ろうと車のハンドルを握っているときだった。

夜の8時ともなると、新御堂は大渋滞。
少し進んでは止まるの繰り返しで、僕は牛歩のような車の進行にいら立っていた。
異常を感じたのはそのときだった。
止まっていたはずの車がなぜか動き出すのだ。
ブレーキを踏んでいるのに、景色が勝手に動く異常に、不安が広がった。
額から脂汗が流れる。
脇の下がジトッと汗ばんだ。
止まっている間も僕は怖くて力一杯ブレーキを踏み続けた。
どこか体に異常が起こっているんやろか。

車を降りてホッとしたのもつかの間、僕の心は不安にかきたてられた。
きっと寝不足に違いない。長い人生こんなこともあるはずや。
そう考え忘れようとしたが、ダメだった。
ひょっとして、また同じような症状が出てくるのではないか。
そう思うと、手のひらが汗ばんだ。