究極の苦しみの先に

ホスピス医の著書から

どんなに恵まれた環境で暮らしていても、生きている限り人には必ず苦しみがつきまといます。
多くの人は、苦しみから逃げることばかり考えているかもしれません。
今苦しんでいる人の中には
「自分は不幸だ!」
「苦しみながら生きているよりも、死んでしまった方がましだ!」
と思っている人もいるかもしれません。

しかし、苦しんでいる人は本当に不幸なのでしょうか?
私はそうは思いません。
なぜなら、これ以上の苦しみはないという絶望の中にありながら、幸せに、穏やかに生きる人たちをたくさん見てきたからです。
ほとんどの人は末期ガンの患者さんでしたが、人生最後の時が近づいているという究極の苦しみの中で、彼らは実に多くの大切なことを学んでいました。
人のやさしさや思い、きずな、自然の偉大さなど、健康なときには見過ごしてきた大切なものに気づき、自分が生きてきた意味を考えるようになっていました。
そして、それらを見出した時、人は今までとは違った生き方に目覚め、本当の幸せや穏やかさを手にすることができるのだと思います。