穏やかな最期のために 3

日本人の死に時より 医師の書

男性は、急性の肺気腫を起こしたようでした。
意識ははっきりしているので、その苦しみはとても見ていられないものでした。
私は、強い鎮静剤で男性を眠らせようとしましたが、モルヒネを大量に使っているので危険を伴います。
下手をすると、そのまま呼吸が止まるかもしれません。
そこに駆けつけた息子さんが「病院に行った方がいい」と主張しました。

患者さんの男性は、断固入院を拒否しましたが、結局救急車で入院することになったのです。

私は、あの状態では病院に行っても今日明日が峠だろうと思っていました。
ところが男性がなくなったのは2週間後だったのです。
私は、入院後の経過を聞くため奥さんを訪ねました。
奥さんが言うには、病院に行くと、すぐレントゲンを撮って、血の検査や点滴やらが始まったそうです。
奥さんは、「ご主人の苦しみを取ってほしいだけだったのに、こちらの希望は聞いてもらえなかった」と言いました。