破られたラブレター

今はもう、あなたに夢の中でしか会うことはできません。
あなたの夢を見て、目覚めた朝の何と胸苦しいことか。

昔、あなたのイニシャルが記された手紙を、私は破り捨てました。
本物のラブレターだと信じることもなく、きっと誰かのいたずらだと思い込んで・・・。
あの頃の私は、子どもでした。
幼すぎました。
誰かに好かれるということが、恥ずかしかったのです。
もっと可愛かったら、もっと自分に自信が持てていたら、あなたに尋ねることができたでしょうに。
「あの手紙は、本当にあなたが・・・?」

どうして私は逃げたのだろう。
恋することも、恋されることも罪ではないのに。
クラスメートに冷やかされることを、何故そんなに恐れたのだろう。
あなたの負った傷に、どうして気づかなかったのだろう。

今、あなたの傍にはきっと大切な人がいて、私の隣にも捨てられない者たちがいる。
それでも、老いた日にどこかで出会ったら、一度だけ手をつながせてください。
白髪になったあなたが、目の前で幸せそうに笑っていたら、それでいいのです。