登る高揚感と下る幸福感

年齢とともに下がってきた身体レベルに合わせて、食事の量も欲望の量も減ってきました。
でもそれは、決して不幸なこととは思っていません。
下っている景色の中に、それなりの幸福感があるのです。

若い時のように、昇っていく時の血の騒ぐような刺激的な感覚はないかもしれません。
しかし下る坂道には、とても雄大で穏やかな幸福感があります。
登っているときには斜面しか見えなかった景色も、ふと後ろを振り返ると素晴らしい眺めが広がる、あの登山をしている時の景色に似ています。
登っているときの高揚感と下っているときの穏やかな幸福感、この両方を味わってこその人生ではないでしょうか。

誰もが平凡な生活を過ごせるわけではありません。
病気で入院している人もいれば、親の介護で悲鳴を上げている人もいます。
リストラで職を失っている人もいれば、精神を病んでしまった人もいます。
平凡な生活は、1日1日を大切に積み上げてきた結果として存在してくれます。
平凡な日々は、自分自身の努力の賜物なんですね。

幸せの条件とは、自分の「心が満足」していることです。
「自分を信じ」、「自分を認め」、「自分を愛する」ことができること。
今までの生き方をすべて受け止めて、これが「自分の歩んできた道なのだ」と、胸を張れること。
そして、感謝を忘れないこと。
感謝は、心が満足していなければ湧いてきません。
「ありがとう」という言葉は、すなわち「心の満足」をあらわしています。