症状の悪化

パニック障害、パニック障害僕はこうして脱出した 円広志

これではレギュラー出演者としての仕事ができない。焦りと不安はますます広がった。
時間が決まっている仕事はまだいい。
いつ終わるか分からない収録番組は怖くてならなかった。
収録中、息がつまって呼吸さえできなることもあった。
呼吸ができないと、それだけでパニックになってしまう。
本当にこのまま死んでしまうのではないかと思った。

症状が出てからしばらくすると、夜がたまらなく不安になった。
暗黒の世界が死のイメージと重なって、自分がそこへ引き込まれてしまいそうになるのだ。
こうなると、体の異常は寝不足のせいだけではないとはっきり分かった。

暗がりが怖いのだから、トンネルもダメである。
高級外車を乗り回してこそ、芸能人。
しかし、今は運転どころではない。
シートベルトでさえできないのだ。
シートベルトをしていると、自由を奪われる。
身動きできなくなる。
自分の意思でその場を逃れられなくなる。
理由は分からないが、気密性の高い乗り物に乗って、高速で疾走するといたたまれなくなるのだ。
特に高速道路に入って80キロをオーバーすると「おい、スピードを落とせ。俺を殺すつもりか」と、後ろから運転手の座席を蹴り上げた。
高速道路では、一般道みたいに止まってはいけないと思ってしまうのもパニックを起こす要因だった。