病院?

日本人の死に時より 医師の書

病院に行かない利点はいろいろあります。

第一に、濃厚医療による不自然な死を避けられること。
病院に行って、一旦治療が始まると途中で止めることが難しくなります。

第二に、つらい検査や治療を受けなくて済むこと。
老人の検査は、往々にして治らないことの確認だけに終わります。
その苦痛に見合う結果が出る可能性は、若い人ほど高くはありません。
治療の副作用で身体を弱らせたり、時にはそれが命取りになる危険性もあります。

第三に、よけいな病気を見つけられる心配がありません。
気づかなければ、そのまま放っておける異常も、見つけたら治療せざるを得なくなります。
老人の場合は、自覚症状がなければガンでも放置しておいた方がよいこともあります。
いわゆる「天寿ガン」とよばれるもので、亡くなった後に解剖して初めて見つかるガンです。
このように、大抵は見つけなくてよかった、ということになることが多いのです。