生きる 5

人生の優先順位のうち、最も多くの人が重要だと思うこと・・・・それは、自分にとって大事な人との時間です。
大きな病気に罹ると、いろいろな困難が生じます。
今まで様々な困難を乗り越えてきた人でも、今度ばかりは立ちいかないと感じることも少なくありません。
そんな時、周りにいるいろいろな人たちから、手を差しのべてもらうような体験をすることがあります。
すると改めて自分は、「たくさんの人たちに支えられて生きているんだ!」と思えるようになるのです。

27歳でスキルス胃ガンになった男性は、若くして健康を失ったことに対する怒りを両親にぶつけたことがありました。
お母さんの「もう少し食べた方がいいんじゃない」という言葉に、イライラが爆発して
「俺だって食べなきゃいけないことは分かっているんだ。でも、食べられないんだ。俺の何が分かっているんだ。もう帰ってくれ!」と言ってしまいました。
お母さんが帰り支度をしているうちに、男性の怒りはおさまってきて、八つ当たりをしたことの申し訳なさを感じたそうです。
「ごめんなさいね」と言い、少し涙ぐみながら病室を後にするお母さんの寂し気な背中を見て「俺が悪かった、ごめん・・・」と男性は謝られたのです。

男性は、緩和病棟で亡くなられましたが、最期に「若くして死ななければならないことは残念だけど、でも僕は幸せだった。ありがとう・・」という感謝の言葉を両親に伝えたそうです。