やはり死ぬのはがんでよかった 医師 中村仁一
「私の事前指示書」
できる限り救急車を呼ばないこと。
脳の実質に損傷がありと予想される場合には、開頭手術は辞退すること。
一度心臓が停止すれば寿命が尽きたと考え、経管栄養、中心静脈栄養、抹消静脈輸液はしないこと。
人工呼吸器が装着されてしまった場合、改善の見込みがなければ、その時点で取り外しても差し支えないこと。
私は死ぬならガンがいいと言い続けてきました。
それには２つの理由があります。
１つは、周囲に死にゆく姿をみせるのが、生まれた人間の務めと考えているからです。
２つめは、比較的最期まで意識清明で意思表示可能なガンは、願ってもないものだからです。
ガン死は、死刑囚である私たちに確実に執行日を約束してくれます。
そのため、死ぬまでの間に残務整理ができ、立つ鳥後を濁さずを実行できるのです。