水筒の代わりに湯たんぽ

がばいばあちゃんの口癖 島田洋七

私が小学生の頃、秋の遠足を翌日にひかえ、水筒がないことに気づき、ばあちゃんに尋ねると、出してきたのがなんと湯たんぽ。
これにお茶を入れて、ひもで首からつるしていけばいいというんです。
さすがにこれは恥ずかしかったけれど、この湯たんぽが思わぬ効果を発揮します。

遠足の終わりのころになると、たいていの子の小さな水筒の中身はみんな空っぽ。
でも、私がぶら下げている大きな湯たんぽには、まだお茶がいっぱい残っているんです。
そこで、のどの乾いた子にお茶を気前良く分けていたら、今度はお返しにどんどんお菓子が集まって来たんです。
うちで、お菓子なんか出てきたことがない私にとって、お菓子は貴重品。
ばあちゃんのアイデアが生んだ、思わぬ幸福でした。