水のように

若いときは、頭の中の世界でしか物事を判断できませんでした。
ところが歳を重ねてくると、頭の世界より身体が覚えている世界で物事を判断するようになってきました。

「水」はすべての生物を生かし養っています。
にもかかわらず、なにかと争うこともなく威張りもしません。
人の嫌がる低いところでも、どんな形の器の中でも、先に立って流れていきます。
人間も水のような存在になれれば、楽に生きていけるようです。

「足るを知る」というと、なにか貧しさを我慢する精神のように聞こえます。
老子は「足るを知る」ことは富むことだといいます。
「足るを知る」ことが分かってくると、人は自分の内面に目を向け始めます。
内面に目を向け始めると、心の奥に潜んでいた能力が動き出し、圧迫されていたものを払拭するようになります。
それが「富」なのだといいます。