比べない・焦らない・頑張りすぎない

うまいこと老いる生き方

54歳精神科医 私はよく子育て中のワーキングマザーに対しては、子育て中は「比べない」「焦らない」「頑張りすぎない」の3つの「ない」でいきましょうってアドバイスしています。私自身も子育て中は仕事が思うようにいかなくて、いろいろと悩んだり焦ったりしたのですが、この言葉を心の指針にして乗り越えることができました。

92歳精神科医 うん、それでええよ。昔から言うように「児孫のために美田を買わず」。大切なのは、生き抜いていく知恵と根性を身につけさせてあげることやからね。

54歳 最後になりますが、先生は今、92歳という押しも押されぬ超後期高齢者になっていらっしゃいますが、先生より若い人に向けてメッセージがございますか。

92歳 そうやなあ。歳をとるっていうことは、どんどん自分で自分の体が動かせなくなっていくことやな、今しみじみ実感している。つい数年前は考えもしなかったけど、体のあちこちに力が入らなくなるんやね。ペットボトルの蓋が固くて開けられなくなるし、ちょっとした荷物も持ち上げられなくなるしね。一人でできることがどんどん減って、人の助けを借りなければならないことがどんどん増えてしまうんや。せやから、若い人たちには、体が動かせるときに、やっておきたいことがあれば後回しにせずに、どんどんやっておきなさいって、真剣に伝えたいね。それともう1つ。延命治療の所でも話したけれど、頭がうまく働かなくなって、自分で物事を判断できなくなることも考えて、自分の行く末のことを、しっかり周りに希望を伝えておいたり、話し合ったりしておくことも必要やね。