母は強し

投稿より

小学校四年生の時、私は習字の宿題を怠け、翌日の提出を怠りました。
「数日中に提出するように」と先生に言われ家に帰り、母にそのことを話すと、母は烈火のごとく叱りました。

「お前の仕事は学校で一生懸命勉強すること。その務めを怠けたことは許されない。今すぐ習字を書き上げ先生の家まで届けなさい!!」
「先生は2~3日中に出せばいいと言ったんだから、明日書く!」
「いいや、お前はやらなくてはいけないことを怠けたのだから、今やりなさい。今から書けば汽車で行って先生の家に届けても最終列車で帰ってこれる!」
「先生の家なんて分からない・・!」
「住所がわかっている。駅前に交番があるから、そこで聞きなさい。口があるのだから、なんぼでも聞くことができるはずだ!!」

それから習字を書き上げ、新聞紙にくるんだ作品を持たされ、半べそをかきながら田園の中の道を小走りに駅に向かいました。
そこから小一時間、先生の住む駅に着き、交番で場所を聞き先生に作品を届けることができました。
家に帰ったのは真夜中近くでした。

何年かして探し物をしていたら、タンスの中にチラシの裏にしたためられた母の日記らしいものが出てきました。
そこには、一人で汽車にも乗ったことのない我が子を案じ、家を出てから帰るまでずっと我が子の後をつけながら、見届けていたことが記されていました。
やるべきことを怠け、責任を果たそうとしない我が子に「ここで甘い顔をしていたら、この子はダメになる・・」と母は決意したのでしょう。

頭をガ~ンとハンマーで殴られた気になりました。
今は亡き母に、感謝の気持ちで一杯です。