残された機能を衰えさせない

70歳からの選択 和田秀樹

80歳になると、誰もが何らかの病気を抱えている状況です。
足腰が弱る人もいれば、脳の状態が悪い人もいるなど、いろいろなパターンがあるでしょうが、やはり80代になると、さすがに衰えてきたという感覚が大きくなり、これまでできてきたことができなくなるケースが増えてくる時期でもあります。

80代で重要なのは、衰えた体や脳の機能をどう回復するかということよりも、残されている機能をどう衰えさせないかを考えることです。
そのためには、ちょっとしたことでも習慣化したほうがいい といえます。

80代になって、ATMの暗証番号が突然思い出せなくなり愕然としたと言う人がいましたが、そのような人はATMをたまにしか使っていないのです。
毎日、小遣いを3000円ずつおろしに行けば、ATMを使えなくなる時間はずいぶん遅れます。
買い物も、週に1回買いだめするよりも、毎日行った方が、必要なものを選ぶ力や計算力の衰えを遅らせることができるわけです。

認知症の進行を食い止めるために効果があるのは、好きなことや楽しいこと、興味があることをやり続けること、日常的にやっていた習慣をなくさないことです。