死より辛いこと

自分の命が10年だったらどうしますか?
5年だったら? 半年だったらどう生きますか?
人間の深層心理は、ふだんは表に出ることはないそうです。
私という人間の根本にある一番大事な気持ちが何なのか、なかなか自分には分かりません。
それが、自分の生命が脅かされるほどの極限状態におかれたとき、初めて自分の本音が現れるのだそうです。

世の中「無常」ですから、このままの状態がずっと続くわけではありません。
「無常」という真実を見つめながら生きていくのが、良く生きることにつながるのだと言います。

もし、1年後に歩けなくなるとしたら、どこに行きますか?
もし、1年後に目が見えなくなるとしたら、何を見たいですか?
もし、1年後に耳が聞こえなくなるとしたら、何を聞いておきたいですか?
もし、1年後に話せなくなるとしたら、誰とどんな話がしたいですか?

「死ぬより辛いことはありますか?」という質問に、医師のほぼ全員の方が「存在する」と答えています。
めちゃくちゃ痛かったり、暴れまわるほど息苦しかったり、不安と哀しみで精神状態が不安定になったり。
医師はそういう辛い状態を日々実際に見ているので、「死より辛いことはある」という回答が出てくるのでしょう。
医師は、命を終えた方がまだマシという状態があることを知っています。
死より辛い状態のまま、長生きすることは幸せとは言えないのです。

人は必ず死にます。
そのことが分かっていると、「ああ、無理をしなくてもいいんだ」と思えます。
気持ちが穏やかになります。
人と比較することも、勝ち負けも、どうでもよくなります。
自分の限りある人生を、どのように生きて行こうか真剣に考えるようになります。