死ぬまでに何を残すか

いつでも死ねる 帯津良一

本を書くことで重度のガンが良くなったという興味深い話しに出くわしました。
シュレベールというアメリカとフランスで活躍する精神科医が脳腫瘍になりました。
手術を受けましたが、しばらくして再発し、主治医からは放射線治療をすすめられました。
本人はすっかり落ち込んでしまって、何をするのも嫌だという無気力状態になってしまい、治療を受ける気もしません。

そんなところへ、ガン患者の支援をしていたマイケル・ラーナーという男がやってきて、シュレベールに言いました。
そんなに落ち込んでしまっていると、免疫力が落ちるばかりだ。
放射線をやるならやると決めて、迷わずに治療を受ければいい。
それはそれとして、あなたには世に残したいことがいっぱいあるだろう。
本を書いた方がいい。

本を書けと言われ、シュレベールはやる気を出しました。
そして書き上げたのが「がんに効く生活」という本でした。
脳腫瘍も、覚悟を決めて放射線治療を受けたら完全に消えてしまいました。

「そうだ!自分には世に残すことがあるんだ」という気付きは、シュレベールにとっては、病気が治るとか治らないといったことを超えた大事なものだったのでしょう。
どっちみち、人は必ず死にます。
ですから、死ぬとか死なないということに捉われないで、死ぬまでに何をするかに意識が移ったとき、そこにときめきが生じるのです。