死ぬことの意味

生物はなぜ死ぬのか 小林武彦

人は喜びを分かち合うこと、自分の感覚を肯定してもらうことで幸福感を得ます。
おいしい料理を二人で食べて「おいしいね・・!」と言うだけで、さらにおいしく感じられるのが人間なのです。
そして、この共感力が人と人との絆となり、社会全体をまとめる骨格となります。
死の恐怖とは、この人との絆を喪失する恐怖なのです。
それは自分自身だけでなく、共感でつながった人が亡くなった場合も同じです。

生と死、変化と選択の結果として人もこの地球に登場することができました。
死があるおかげで進化し、存在しているのです。
死は生きた結果であり終わりですが、長い生命の歴史から考えると、生きている、存在していることの原因であり、新たな変化の始まりなのです。