死によって生物は進化してきた

生物はなぜ死ぬのか 小林武彦

そもそも何で細胞を老化させる必要があるのでしょうか。
もし細胞が老化しないで死なないとどうなるのでしょうか。
細胞が生きていく上ではエネルギーをつくらないといけません。
細胞内でミトコンドリアが酸素吸入を行い、糖を燃やしてエネルギーをつくりだします。
この時に副産物として、酸化力の強い活性酸素が生じます。
活性酸素には、細胞の構成部分を酸化、錆びさせてダメにする副作用があります。

遺伝子の変化が多様性を生み出し、その多様性があるからこそ、死や絶滅によって生物は進化してきました。
進化が生物をつくったという視点から考えると、生物が死ぬことも進化がつくったといえるのです。
子孫を残していれば、自分の分身が生きていくことになり、いのちの総量はあまり変わりません。
生物にとっての死は、子どもを産むことと同じくらい自然な、しかも必然的なことなのです。