晩年

1,000人以上の患者さんを看取ったホスピス医の話しです。
「終末期の患者さんや肢体不自由な方など、一見大変な状況に見える人の方が、私たち健康人より穏やかに笑顔で闘病されている人が少なくありません」と教えてくれます。

ここに幸せの秘訣があるようです。
つまり幸せは、環境によって決まるのではなく、自分の置かれている状況の捉え方しだいで、「幸」にもなるし「不幸」にもなるということです。

現代社会は「欲」を上手に利用してモノを買わせようとします。
その結果、必要以上に膨らんだ願望が人々を苦しめています。
望みが大きくなればなるほど、満たされないまま生きていくことになるからです。

人の一生は必ず終わります。
得たものはすべて置いていくことになります。
死ぬ間際に心が救われるのは、生前に行えた「自分の善行を見出だしたとき」だと聞きました。
歳を重ねてくるとそのことが身に沁みるのです。

 若いころは「自分だけよければいい」と思うことが多かったのは事実です。
晩年は「死」を身近に意識することが多くなります。
だから「自分だけよければいい」という自分と決別して「誰かの役に立って喜ばれたい」と思うようになるのです。