明るくなれる方法をあれこれ試す

しあわせトリック おかのきんや

貯金を切り崩しても、生活費はいよいよ数か月しかもたないくらいになりました。
連れ合いの点子さんに、これからしばらく生活費を切り詰めてもらうようお願いしました。
すると点子さんはデパートに行き、ひとつ3万円もする輪島塗のお椀を買ってきました。
1円の無駄もしたくないのに、なぜこんな高価なものを買ったのかと愕然としました。
点子さんはこう言いました。
「これから、うちは貧乏になるだんだよね。ご飯とお味噌汁だけの食事もあるかもよ。でも、このお椀を使うと、具のない味噌汁でも料亭のお味噌汁みたいに感じるよ。そうすると、お財布は貧乏でも、気持ちはお金持ちだよ。だから、今日はこれを買いに行ったんだよ」

確かに、職人が丹精を込めてつくった輪島塗のお椀で味噌汁を食べると、とても豊かな気持ちになりました。
そのおかげで、作品をとても明るい気持ちで描くことができました。
そして、貯金が底をつく前に連載が決まりました。

「笑う門には福来る」とは、ほんとうに良くできた言葉です。
私自身追いつめられた気持ちで漫画を描いていた時期もありますが、その時は全然認められませんでした。
確かに陰気な人の所には私も近づきたくはありません。
あなただってそうでしょう。

人間どうしても暗い気持ちになってしまうことはあります。
そんな時は、気持ちをごまかさず、一度しっかり落ち込みましょう。
ほんとうに大事なのはそこからです。
そのままズルズル落ち込み続けるか、なんとかして気持ちを明るくする方法を考え出すか。
そこが明暗の分かれ目です。