新しい付き合いを積極的に

70歳からの選択 和田秀樹

私の経験では、50代になって自分の会社人生の先が見えてきたときに、それまで順調にきた人については、概ね2つのタイプに分かれることが多いようです。
1つは、外部との付き合い方を増やし、部下にも柔軟に対応することで、より自分の器を広げていこうという人。
もう1つは、残りの会社人生は長くないのに、会社の序列をやたらと重んじ、上から目線で横柄な態度になる人。

前者のように、新しい付き合いを積極的にできる人は、脳の退化を防ぐことができる上、人間関係も良好ですから、退職後や老後も自分の世界を広げることができます。
一方後者は、前頭葉の萎縮によりクリエイティビティが枯渇するに従って、会社での地位にすがるしかなくなり、やたらと自分の方が上だと示そうと、部下や取引相手に無理を押し付けることが多くなります。
自分は「会社のために」と思ってやっているのですが、実際には組織のためにもなっていないし、脳の退化を進めるうえに、人間関係を広げることもできないので、ますます脳の老化によってマンネリ化に陥ってしまうのです。