損する苦しみ

人生は難しい選択の連続です。
サラリーマンか独立か、安定か夢か、自分が死に至る病気になったらどう生きるのか。
日常でも、昼ご飯をどこで食べるのか、上司のご機嫌取りをするのか、家族との時間を優先し真っすぐ帰宅するのか、など選択の連続です。

「人間は合理的な判断ができない」というのはアメリカの認知心理学者のカーネマンです。
彼はいくつかの実験を行いました。
Aのボタンを押すと「80%の確率で50万円もらえる」
Bのボタンを押すと「100%の確率で30万もらえる」
この場合、どちらを選ぶかという実験です。
その結果は、多くの人がBボタンを選びました。
統計学的に言えば、A=50万円×80%=40万円、B=30万円となり、期待値はBの方が高いのにもかかわらずです。

今度は、Aボタンを押すと「80%の確率で50万円損する」
Bボタンを押すと「100%の確率で30万円損する」という実験です。
今度は、圧倒的にAボタンを押した人が多かったのです。
これは、どういうことかと言いますと、人間は利益に対しては確実な選択をする傾向があり、損失に対してはリスクを取ってギャンブル的な選択をするということです。

人間は損失した苦しみは、同額の利益を得る喜びよりも2倍以上の苦しみを感じるのだそうです。

人間は損をしたくない感情的な生き物であり、損することの苦しみを避けるために、時には合理的でない選択をしてしまうということです。