揺るがない友情と自信

ココロの架け橋 中野敏治

汗びっしょりで走っている彼の顔をつたうのは汗だけではありませんでした。
彼は走りながら何度も何度も目を拭いているように見えました。
彼の頬には、流れる涙が光って見えるようでした。
ついにクラスメート全員とゴールしました。
ゴールと同時に彼は座り込んでしまいました。
彼のゴールは、クラス生徒全員のゴールでした。
遠くからその光景を見ていた私は、胸が痛くなるほど震え、目頭が熱くなっていくのが分かりました。
私も涙が頬を流れる前にそっとハンカチで拭きとりました。

彼は学年が進むにつれ、運動が苦手というコンプレックスを克服し、クラスだけでなく、全校生徒からも信頼を得るようになっていきました。
誰に対してもやさしく、何事にもひたむきに努力する彼の姿が、多くの生徒からの信頼を得たのだと思います。
最上級生になった彼は、生徒会長に推薦されました。
生徒会長になった彼は、学校を動かす素晴らしい活動をしていきました。
彼は、あのクラスメートに揺るがない友情と自信をもらって大きく変わったのです。