捨てること

どんな人でも未完成な部分と、完成を感じさせる良い部分があり、それらを交互に繰り返して生きていきます。

「諦める」を違う言葉で表現すると「捨てる」になります。
哺乳瓶やおむつは数年で捨てられます。
三輪車は小学生になれば捨てられます。
成長するにしたがって、さまざまなモノを捨てていきます。
捨てるものはモノだけではありません。
考え方もいろいろな体験を積む中で更新されていきます。
古い考え方を捨てていくことで、人間は成長していきます。
何かを捨てて、諦めがつくと前に進めます。
何かを諦めないと、次の何かを得ることができないからです。
諦めることは何かを失うことではなくて、成長するために必要なことなのです。

少し前まで、東京から大阪まで1日かかっていました。
今なら新幹線で3時間もかかりません。
その日のうちに仕事を終わらせて、帰宅することもできるようになりました。
昔なら移動に1日かかっていたわけですから、本来なら浮いた1日をのんびり過ごして、本を読んだり人生を振り返ったりしてもいいわけです。
でも、私たちは次の日も仕事をしています。
科学の進歩が便利さや効率化を可能にしても、一向に自分の時間はできません。

これでは、一体何のための便利さなのか分かりません。
それどころか、「便利さ」は私たちの心を蝕む一因にさえなってしまいました。
自分の意志で空いた時間を有効に使おうとしないと限り、人生は変わりません。
なぜなら、私たちは「自分のことを見直す時間」すら作ろうとしないのですから。