承認欲とは

弘前城

 

心理学者のマズローが唱えた「欲求の五段階」説があります。
ピラミッドの土台に「性欲」「食欲」「睡眠欲」があり、その上に「身の安全・所属・愛情の欲求」があり、一番上に「人から承認されたい」という「承認欲」が位置付けられています。

SNSで、その日に100件以上の「いいね」をもらっても、1週間後にはその時のうれしさは無くなってしまいます。
それは「認められたい欲求」が、刹那的に、極めて短い時間に認められても、すぐにその欠乏に悩むということを表わしています。

フランスの哲学者ラカンは、他者とは別に「象徴的な、大きな他者である神様のようなもの」に認められないと、「認めらられた」という実感を得ることはできないといっています。
それはどういうことかと言いますと、10年後、20年後、もっと言えば100年後に見知らぬ人が、自分の作品を見て感動してくれる、そういった大風呂敷を広げたような「承認欲」を満たすことのようです。

人が何かに向けて熱中できるその理由をヘーゲルは、「人が取り組む事業や企画のこうあるべき姿、つまり理想形を当事者が頭の中にイメージして、一体化したいという思いに導かれて人は作業に専念できる」といっています。

気が遠くなるほど途方もなく、誰が褒めてくれるか分からないような事業に、やれるところから着手する、ということでしょうか。