我が家の普通

人の出会いででっかく生きろ 中村文昭

2つ目は挨拶。
僕も妻も、ちょっとオーバーなくらい日常の挨拶をします。
ですから、息子たちはどこに行っても大きな声で挨拶します。
知らない人にもどんどん話しかけるので、少々心配になるくらいです。
しかし僕は、そうやって知り合いをたくさん作っておくほうがいいのではないかとも思うのです。
何かあったら、誰かが気がついてくれるのではないでしょうか。

現に我が家の食卓は、息子たちの挨拶でちょっぴり得をしています。
八百屋さんでもお肉屋さんでもスーパーでも、ちびがお店の人に大きな声で挨拶するので、おまけをもらえるというのです。
「今夜のおかずの天ぷら、お総菜屋さんのおばさんがくれたの。いつも大きな声で『こんにちは』って言えて偉いねって。最近うちのおかずが増えているのは、大体貰い物なんよ」
半分あきれながらニコニコしている妻を見て、子どももニコニコします。

3つめは、日本の地理を知ること。
5年前、僕はあるご縁で講演を始めました。
人に喜んでもらおう、何か感じとってもらおうと、実体験から感じた出会いのすばらしさについて、しゃべりまくった最初の年の講演数は10回。
ありがたいことに口コミで広がり、僕も人に喜んでもらえるのがうれしくて、片っ端から受けているうちに翌年は30回、その翌年は80回と倍々ゲーム以上の勢いで増えていきました。
当然留守がちになりますので、息子たちは「今度はどこ行くの?」と聞くようになりました。
そこで、大きな地図を壁に張り、僕の居場所を説明することにしたのです。
「僕んちがある伊勢はここ、お父さん、今日は仙台や」
息子たちは今、地図でほとんどの場所を示すことができるようになりました。