感無量

苦しみのない人生はない 幸せはすぐ隣にある 小澤竹俊

苦しみを認めることは、心を楽にするための最初の一歩です。
私は苦しみを、解決ができる苦しみと解決が難しい苦しみの2つに分けて考えています。
すべての苦しみを解決しようと思うことは、とても現実的ではありません。
解決できる苦しみなのか、それとも解決が難しい苦しみなのかをきちんと分けて考え、その上で、もし解決できる苦しみであると判断したばならば、最善を尽くすことが大切です。

私は、在宅診療で多くの患者さん、家族に出会ってきました。
どれほど志の高いチームが、在宅療養支援として誠実にかかわったとしても、死亡診断書を書く資格のある医師がいなければ、患者さんは希望しない救急搬送となってしまいます。
今、こうして自分が関わることで、この患者さんと家族は、希望である自宅で最期まで過ごすことができていると感じるとき、あの高校3年生の夏の受験勉強の苦しみを思い出します。
もう二度と味わいたくない、あの高校3年生の受験勉強の苦しみは、この目の前にいるこの人に出会うためであったのだ・・と思うのです。