感性の解放

緩和医の話しから

今は、非常に便利で自由なので、多くの望みが叶うのは当たり前になっています。
つまり、欲しいもの、やりたいことを我慢するのが、難しくなってきたということです。
それが、些細なことを喜べなくなってきている要因であり、充足感を遠ざけてしまっているのかもしれません。

必ず訪れる「死」を、嫌なものとしてしか捉えることができなければ、人生は「敗北」で終わることになります。
それは、不幸な人生であったということです。
こういうことを考えるのは嫌だから、現実の享楽に逃げて忘れることは可能です。
でも、「死」に直面するときは万人平等に必ず訪れるのです。

人生に遥かな困難を抱えている人たち、今、死を前にしている人たち、彼らが不幸に包まれているかといえば、必ずしもそうではありません。
「わたしは幸せです」
「最高にいい人生でした」
と気後れする位の、微笑で私たちに語りかけてくれるのです。
難儀な事態が訪れても、人はそんな気持ちになれるのです。

失うことを恐れなければ、不安は消えていくのです。