悪口を言うな、褒めちぎれ

いい言葉がいい人生をつくる 斎藤茂太

上司や得意先の悪口をいいながら、ついつい飲み過ぎてしまった翌日は、気分がスッキリしない。
これを酒を飲み過ぎた二日酔いのせいだと思い違いしていないだろうか。
多くの場合、悪口の二日酔いである。
他人の悪口はもろ刃の剣。
相手にとって不快だけでなく、悪口を言った本人も嫌な後味が残ってしまうものなのだ。

どんな人にも欠点はある。
だが、それをあげつらう自分はどうだろう。
今こうして、人の悪口を言っている自分は嫌な奴ではないのか。
複数の人間で悪口を言いあうのはさらによくない。
あなたは悪口を言いあった相手を、その後も絶対に信用できるだろうか。
席が変われば、今度は自分の悪口に相槌を打つのではないかと、疑心暗鬼にかられ、相手を信用できなってしまう。

誰かが失敗したなら、その本人を入れて、失敗の原因について大いに語り合った方がいい。
このとき、間違っても相手の人格や人なりを攻撃しないこと。
失敗と人格は全く別次元の話しだ。
できれば、失敗した場合さえも、人はできるだけ褒める方がいい。
誰だって、褒められてイヤな人間はいない。
それどころか、褒められているうちに自信が蘇り、その自信が新たなやる気を引き起こしていくものだ。