心の闇

自分のものとは認めたくない、あるいは人に見せたくない「人格の一側面」は誰でも持っています。
それを「隠された自己」(心の闇)と名付けることにしましょう。

人間は自分の性格の中でも、頭の良さ、我慢強さ、親切心、やさしさといった長所には関心を持ちますが、残酷さ、怠け心、欲深さ、臆病といった短所には目を向けたがりません。

こうした人間の「負の側面」を自分の目の見えないところ、意識の届かないところに隠そうとします。
よって「隠された自己」(心の闇)は、無意識の領域に存在することになります。

目立つ人ほど、大きな「隠された自己」(心の闇)を引きずっている可能性が高いといわれます。
富と権力、高い知名度という3つの要素が揃えば「隠された自己」(心の闇)にとって、申し分のない環境が整ったことになります。

謙虚だった人が一度成功してしまうと、人が変わったようになる場合があります。
「リーダーになると、弱さや下品な面を見せてはならない」というプレッシャーを常に感じるようになります。
その結果、無理を重ねてしまいかねません。
そして、それに耐えきれなくなったとき「隠された自己」(心の闇)が露出しはじめるのです。

「心の健康」を得るには、すなわち己を知り、「隠された自己」(心の闇)に勇気をもって目を向け対峙することです。
とても大変な作業ですが、有意義な人間関係を歩むためには避けて通れません。
自分の弱さや短所を露呈して「オレにもこういうところがあるんだ。もし迷惑を掛けたら教えてね」と身近な人たちに、自分の弱点を見てもらい共有できれば「自然な自分」でいられますし、人生が楽しくなること請け合いです。