心の持ち方 1

生きることに疲れた人が「自分の人生には意味がない」「人生には何も期待できない」と思ったとしても、その人には待っているものがあります。
それは人それぞれ違いますが、ある人にとっては「学問上の研究」であったり「子供」であったりします。
ものの考え方を180度方向転換してみます。
「私は人生に何を期待できるか?」と問うのではなく、「人生は私に何を期待しているのだろうか?」を問うのです。

ある医師が、わずかな命と宣告され、死を直前にし、奈落から這い上がったと思われる患者さんに「どうして這い上がることができたのか」を聞いてみたそうです。
そうした患者さんの言葉の中からヒントになる言葉がみつかりました。
それは「人は誰でも、心の奥に安心できる心を持っている」ということです。

若くて悪性リンパ腫に罹った若い男性の話しがあります。
病気になって感じたことは、「理屈抜きで死にたくない」ということと、自分の死は他の多くの死よりも特別のことだということです。
死の問題を考え続けていると、一つ分かったことがあったそうです。
それは、「死の問題は頭で考えても決着がつかない」ということです。
それでも、自分の命がかかっていたので、とにかく考えることだけはやめないでいると「体に聞く」ことが身についてきたそうです。
「体に聞く」とは、具体的に動くということで、自分の人生を振り返るようにして過ごした場所を順々に巡って、人生を再体験することを思いついたそうです。
自然の中で時間を共にしているとき、大量の落ち葉を見て、ふとこう思いました。
「死は特別なことではなく自然のことだ。そして僕も自然の一部である。だから僕が死ぬのは自然のことだ」と。
この体験をしたことで「死を考えることは、僕の中では必要のないこと」と悟ったということです。