引き算

愛がほんとうに良いものならば、なぜ愛は人類の間でもっと大きな感情に育っていかないのでしょう。
もし愛が、人間社会を占める大きな感情に育っていれば、世界はもっと平和で満ちるはずです。
では、何故そうならないのでしょうか。
仏教家は、実は愛の裏側には憎しみが張り付いているからだといいます。
愛の本質は所有欲で、例えば、恋人が自分の所有でなくなると、憎しみの対象に変わるのだといいます。
自分のものにしたい、欲しいという感情を「愛」と言い換えているのだともいいます。

私たちは、人生を足し算的な発想で生きています。
お金でも、能力でも、地位でも、名誉でも、プラスの数字が大きくなるのがいいことだと思っています。
足し算をし過ぎて、背負うものが大きくなるにつれて、自分の思いとはうら腹に幸福感が薄れていくのです。

もし足し過ぎたなと感じたら、引き算をすることです。
人に譲ったり、あげたりしてみます。
引き算をするのは、物質的なものだけではありません。
自分の悪い所を引き算してゼロにして、そこから自分のよいところを足し算して、人間を完成させていくのだといいます。